海はあちらですか

読んだ本のこと、仕事のこと、ふと思ったことを思うままに書いてみたいと思います。自分の記録と整理のために。

限界費用ゼロ社会 読了

この本、すっごく面白かった!!!

限界費用ゼロ社会―<モノのインターネット>と共有型経済の台頭

限界費用ゼロ社会―<モノのインターネット>と共有型経済の台頭


なんかぼんやりとイメージされていたものがもう強制的にクリアに整理されて。こういうのを目から鱗というのか?ちがうか?

テーマはこれからの世の中はどう変わるかということ。結論としては、インターネットの急速な発達により、極度の生産性向上が起きる結果、企業の収益性の極端な減少が起き、つまり資本主義的一極化のもってる矛盾が表に現れて、資本主義経済は世の中で縮小していく。変わりに力を持つのがインターネットでつながれて、限界費用ゼロの恩恵(ネット上のコミュニケーション、小規模自然エネルギー、あらゆる物のシェア、3Dプリンターでの小規模生産など)をフル活用する市民、コミュニティーの存在だ、という話。

筆者はインフラを、「コミュニケーション、エネルギー、物流」と定義しており、この三つががらりと姿を変えるタイミングで世の中の大きな変化が起きてきたということを歴史から説明し、その上でインターネット、IOTによるこの三つの根本変化が世の中を当然変えていくということをひたすら説明していく。

この作業の中での歴史解釈や事例紹介がすごく説得力あって面白く、ひさびさに、本を読む作業と、描かれる未来にわくわくした笑。

まぁ本旨はそんな感じで、あとは個人的にすごい!と、思った指摘や事実。

  1. 封建的社会はイギリスでは700年以上続いた。
  2. 太陽エネルギーの一万分の一で世界の全てのエネルギーを賄える。また今後20年程度で再生可能エネルギーが全体の8割になりうる。
  3. デジタル情報はDNAコードとして保存可能。DNAなら世界中全てのディスクドライブ上の情報を手のひらサイズに収められる。
  4. ガンジーはやっぱりすごかった「自立は底辺から始まる。どの村も、全世界から自らを守れるほど自給自足、自らを処理できるようになる~この構造は個人を中心にする太洋のような輪だ」
  5. 協同組合が担い手のひとつになる?
  6. オランダでは非営利部門の雇用が労働人口の15.9%。
  7. 気温が一度上がると大気の容水量は7%増える。
  8. アメリカのトウモロコシ、大豆の生産は2050年までに?二酸化炭素排出が多いと63~82%減るかもしれない。
  9. フランスでは淡水の年間消費の43%が原発冷却用。熱波だと水不足で原発停止している。
あとは歴史解釈がすごく面白かった。今みんなが唯一無二の社会システムだと思ってる(新自由主義的)資本主義が歴史の一時期に現れたひとつの仕組みに過ぎず、この仕組みに「これがさも自然原理かのような裏付け」を与える過程にどんな議論があったかが整理されている。

こういう経済学や自然科学の思想のキーマンの果たしてきた役割って、教科書で習うイメージ以上に大きくて、自分自身もこの社会で生きる過程ですごい影響をうけているんだなぁと実感。

なんか他にも色々あったけど、今日はここまで。次回はとりとめなく感想を書いてみよう。